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その23
4分33秒
ここは渋谷の細い坂の途中にある地下のLive Bar。21:16。
スポットライトを浴びる俺は、4曲目を歌い終わったところ。
減衰するギターの音。
拍手の響きも天井に溶け、次を期待する聴衆。
俺は静かに、マイクの前に口を寄せる。
あえて、耳を傾けなければならない様な気にさせる程の音量で、一言。
「カバー曲をやります。ジョン・ケージの『4分33秒』」
カコーン
コーーーン
ウワンウワンウワンウー〜ー〜ーー
コーーン
「...あ、ただのチューニングです」
と言うのが、10年やったネタ「沈黙と調整」の次に考えたギャグ。
簡単に説明すると、ジョン・ケージって言う現代音楽のArtistがいて、「4分33秒」と言う曲を書いた。
これが面白い曲で、ピアノの前に座り、4分33秒沈黙すると言う曲(!)
そこにある自然界の音を楽しんでください。これが、私から提示するArtですと言う趣向な訳。
それを、チューニングの間を持たせる為に「カバー」したの。
ふふ、とある場所でLiveをした時にこれをやった時に声を上げて笑ってくれた方がいてさ、よく見たら、ピアニストの上原さんだった(笑) さすが。
チューニングの話をしよう。
チューナーって機械がある。便利で、俺も特にギターを始めたばかりの頃はすがる様に使っていた。
でも、俺からは「音叉」の使用をおすすめしたいよ。
何故かと言うと、単純に、音感が鍛えられるから。集中力が研ぎ澄まされるから。
チューニングと言うルーティンワークも成長の機会として捉えるんだ。
3年、5年、10年経つに従って力になってくるよ。
やり方は、簡単。
ギターのハーモニクス音と音叉を鳴らした音を同時に集中して聴き比べるだけ。
音が合っていないと「ウワンウワンウワン」って空気が波打つんだよ。だけど、音が合うと波が消える。二つの音が真っ直ぐに一つに、平行して進むんだ。
最初は(俺がそうだったんだけど)「自信」が無いからよく分からないって言う感覚かもしれないけど、長い目で見て、軽い気持ちでチャレンジしてみてほしい。
まとめるね。
チューニングを音叉を使ってやる事で、ルーティンワークも貴重な修行の機会になる。
...因みに、「4分33秒」の1ネタをやる為だけに、理論武装したくてジョン・ケージ関連の本を3冊程読んだよ(笑)
カバーする時には、最大限の敬意を払わないとね。
またここで、二人で会おう。
( )
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俺のギャグ「4分33秒」に笑っていた、上原さん
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Instrument
男は黙って、音叉でしょ。 人に教えてもらってビックリしたのは、音を鳴らしてから「 ...続きを読む
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Instrument
これ使っている人本当に多いな〜。 ちょっと羨ましかったりも ...する
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詩人・南條雄一の公式ウェブサイト。プロフィール、作品紹介、ブログなど”最新情報”をお伝えします。人生は、推敲し続ける一篇の詩。遅咲き蕾にうるおいを。
南條 雄一について
「身近な愛を、たいせつに」暮らす詩人。絵・音・Webにハマったハマっこ、詩にフォーカスでアラフォーデビュー
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