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その73
原稿持ち込み先出版社の選び方 - (ニッチな本)詩集出版までの道 [4/6]
無名の新人が、出版デビューを目指し原稿持ち込みする際の戦略についてここに記す。
前提として、カネもコネもない俺と同じ普通の人向けの情報だ。
運や縁があり、今から書くような事を考えずともスっと出版に至るケースがあれば、その幸運に感謝すれば良い。
■市場の把握・分類・狙いを定める(STP)
まず、今の段階では、自分にとってのお客様はまだ読者ではなく出版社である。出版社の事を知る必要がある。
マーケティング戦略策定における「STP」と呼ばれる手法が使える。
STPとは、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット設定)、Positioning(ポジショニング設定)の頭文字をとったもの。
1.Segmentation
1-1.出版社は、「原稿募集している会社」と「原稿募集していない会社」に分かれる。各出版社HPにて情報確認。
・原稿募集していない会社 : 所謂、書店でよく見かける歴史ある有名企業(新潮社,講談社,筑摩書房,岩波書店など)。詩歌のジャンルに特化した企業(思潮社,土曜美術社出版販売株式会社など。自費出版の募集は多々ある)。
1-2.原稿募集している会社は、「文芸書を発行している会社」と「文芸書を発行していない会社」に分かれる。
・文芸書を発行していない会社 : 専門書[教育,ビジネス, IT技術など]に特化した企業
1-3.文芸書を発行している会社は、「中堅どころ」と「ベンチャー」に分かれる。
・中堅どころ : 所謂、書店でよく見かける有名企業(サンクチュアリ出版,立東舎など)
2.Targeting
結論を言うと、今回俺は、最後に書いた「ベンチャー」企業と出版契約を結ぶ事ができた。最初の一歩として、ここでデビューを目指すのが、再現性高い狙い目なのではないかと思う。
3.Positioning
狙った企業に対して、「他とは差別化された」商品(アイデア)を持ち込む。ターゲットを絞れば絞るほど、「他の商品」の把握がしやすいと思う。ちなみに俺は、世界中・歴史上のどの詩集とも違うものを目指した。
以下、なぜベンチャーをターゲットとするという意思決定に至ったかについて、3つの視点で考える。
■自分・出版社・読者という3つの視点
1.自分の戦闘力を分析する
自分は、まだ本を出した経験・実績はなく、未経験者で、出版業界からしたら海の物とも山の物ともつかぬ「戦闘力0に近い未知数」と見なされている現実を認識する。
2.出版社側のニーズを想像
自費出版と違い、「売れませんでした~、テヘヘ」では済まされない。大人が集まって、人件費・制作費・販管費などを投資した先に回収を目指している。誰しも、人生において無駄な時間は過ごしたくない。
大手企業としては、やはり過去に売れた実績のある著者の本を出したい、実績のない無名な著者の本を出すより赤字リスクは低いだろうと考えるのが至極当然。合理的な判断だ。
一方、ベンチャー企業は、これから自分たち自身が実績を積みたい段階。大物作家にとっては、広告宣伝費も各種メディアへの影響力も少ないここから本を出すメリットはあまり考えられない。ベンチャー側も、大物作家に対して与えられるメリットは少ないと理解しているだろう。よって、新人作家の原稿を欲しいという思惑が生まれる訳である。0から一緒に頑張ろうという事だ。
3.読者にとっての出版社
一般読者にとって、自分が幼かった頃を思い出しても、出版社なんて関係ない。書籍タイトルや装丁デザインや目次などをパラパラ見たりして「面白そうか」どうかだけで判断する。
出版社がどこだから安心とか、編集者が誰だから期待とか、ジャンルがどうだとか言うのは、読書体験を積んで生まれるマニアックな嗜好だ。
音楽でも同じ。作詞家・作曲家が誰だとか、この曲のジャンルは何とか、どこのレーベルから出されているかなどは、作り手側には興味ある情報でも、一般消費者にとってはどうでも良い話。
上記3つの視点をまとめる。
・自分は、0から出版実績を積みたいフェーズ。出版社を選べるご身分ではない。ましてや詩集なんてニッチな分野、出版してもらえるだけでありがたい。
・ベンチャー出版社は、0から出版実績を積みたいフェーズ。新人からでも原稿を提供してもらいたい。様々な企業努力をし、新人作品でも出版できる仕組みを整えている出版社はある。いつの時代にも、「今からスタートして頑張ろう」とする出版社は生まれるはずだ。
・読者が求めているのは面白い本。出版社など関係ない。
これら3つの視点が重なる点を見つめて、「ベンチャー企業からの出版を目指す」のだ。
まとめるね。
足るを知る事。
自分の身の丈を知らず、「熱い想いがあるんだ」とか「子供の頃から親しんできたあの大手有名出版社からデビューしたい」とか思っても、力学的にマッチングする可能性はとても低い。理論的に、再現性の高い小さな成功を目指すんだ。小さな成功を積み上げて行く。
「あのアイドル/女優と付き合いたい。結婚したい!」と妄想し、いつまでも身近な人と恋愛経験を積む事をしない童貞のままで良いのか?
またここで、二人で会おう。
身近な愛を、たいせつに。
※次回予告
ファネル理論を意識したアプローチ - (ニッチな本)詩集出版までの道[5/6]
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南條 雄一について
「身近な愛を、たいせつに」暮らす詩人。絵・音・Webにハマったハマっこ、詩にフォーカスでアラフォーデビュー
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