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その72
200万円浮いた、詩の市場調査 - 詩集出版までの道のり [3/6]
詩集の原稿を出版社に持ち込む(売り込む)為に、詩の市場を調べましょ。
ここでは、調査のプロでは無いのだから、厳密に正確である必要はない。
限られた時間、限られた予算(¥0)で、自分が行動する為に必要な「市場感覚」を得られれば良い。
そう思いネットを検索すると、出版業界の人が書いたと思われる情報がいくつかあった。
[情報1]そもそも、今は本が売れない時代で、出版される事自体難しいらしい
新人が、初めて書いた本が出版される確率は1000分の1だそうだ。(某アメリカ人著者の言葉で、国や時代にもよると思うが、納得感はある数字)
そして、出版実績から窺うと、マーケットの大きい小説に比べ、詩集が出版される可能性は100分の1程度。(もっと低いか)
要するに、詩集が出版される確率は「10万分の1」と言うところ。
ここで、1つの問いが生まれる。
「君の芸は、その他10万人と違うものか(=負けないものか)?出来る努力は積み上げて来たと胸を張って言えるか?」
食い気味で、即答でYESと言えるのが、表現者だ。
他人と同じ価値基準での競争結果順位では無い。人はそれぞれ、自分がナンバー1/オンリー1となり得るポジションがあるはず。
ユニークな、オリジナルな価値基準の中で精一杯、真摯に精進して来れたという「自信」があるかどうか。
自信が無いものを売るのは、お客様に対して失礼。悪である。
自信が無いなら、売り込む前に、芸を磨け。
[情報2]詩人と呼ばれる人でも、ほとんどが自費出版であるらしい
これは、ショックだったが、事実らしい。
母が俳句の結社に入っているのだが、周りにも本は出していても商業出版された人はいないとの事。(俳句も「詩歌」という同じジャンル)
詩の雑誌に掲載される事を目標として投稿し続ける人もいるそうだが、キャリアパスと言うか、その先には雑誌の運営母体である出版社から自費出版を促される事があるそうだ。
それでは、いくらかかるのか調べてみた。
まず、出版には3つの形態がある。
1.自費出版 : 制作費用は、著者が100%
2.共同出版 : 制作費用は、著者と出版社の折半
3.商業出版 : 制作費用は、出版社が100%
1に関して、実際に見積もりを取り、以下の相場感覚を得た。
A社 : 240万円 (1100部)
B社 : 100万円 (500部)
C社 : 60万円 (500部)
※300万円かかったケースもあるという話も耳にした
2に関しては、
50万円と言う数字を聞いた。
そして、A社から出版されている詩集を本屋で1店のみ見かけたが、大きな店内に1冊棚差しされているだけ。
それも、そのうち、売れたのかは知らないが、本棚から消えた。
ここで、1つの問いが生まれる。
「どの形態で出版される事を、本心では望んでいる?中学生の頃の自分は何に憧れ、理想の大人像はどんなものだった?」
答えは、人それぞれ、何が正しいという話でもない。
[情報3]詩集の発行部数は、300以下が大半
出版社としては初版発行部数を300か500かで悩み、増刷がかかって300部。総発行部数が1000を超える事はほとんど無いそうだ。
ここで、1つの問いが生まれる。
「200万円払って300部しか売れないリスクを許容出来るか?」
常に、最悪の事態を想定するのが経営(家計も同じ)だ。
この問いに対してYESと言えるなら、何も問題無い。
ここに違和感を覚えるなら、まだ思考を重ねるべきだ。
そもそも、出版社が買ってくれない作品なのに、多くのお客様が買ってくださる見込みを持っている?
既に多くのファンに囲まれていてこの問いに対してもYESと言えるなら、問題無い。
[情報4] Legend詩人でも、生涯1冊しか出版していなかったりする
ボードレール : 『悪の華』(自費)
ホイットマン : 『草の葉』(自費)
宮沢賢治 : 『春と修羅』(自費)
八木重吉 : 『秋の瞳』
田河水泡 : 『少年漫画詩集』
忌野清志郎 : 『エリーゼのために』
まだまだいると思うが、これら俺が好きで「本物だ」と尊敬する詩人たちは、生涯1冊しか詩集を世に出していない。
自分自身を鑑みても、20代前半から人からお金を頂く芸として詩(歌)を書き続けて来て、この度初めて書籍という形になるのが40代前半の今。20年かかった。
ゲーテなんて、『ファウスト』書き上げるのに40年かかったとの事。(ちなみに、『日本書紀』も制作期間40年との事)
人生に密接した、心の奥底から出てくる言葉を作品集/詩集にまとめられる状態になるは、その位時間がかかるというのが自分にとっても実体験。
詩集を出すのは、生涯最初で最後、これから出す1冊になると思う。
さらに、他者(他社)が作ったメディア(雑誌、Blog投稿サイトなど)に群衆に混ざって芥子粒の様な存在感で活動する事にも、違和感を持った。
ARTとは、先駆者がいない場所に自分から始まる道を切り開く活動でしょ?
他者が作って運営するメディアに依存していると、いつ無くなるかも分からないし、リスクじゃない?
そう思い、30代知識0からITの世界を学び、一人でこのWebサイトを創った。これも俺の「表現」であり、人生を推敲するという「詩」なんだ。
このWebサイト制作に、ここまで10年かかった。
ここで、1つの問いが生まれる。
「200万円払って300部しか売れず、しかも挽回のチャンスもない(出版は1度きり)というリスクを許容出来るか?」
ここまで言われると、慎重になるよね。損して終わりたくは無い。
ここまで、お金の事を口にしていると、中学生だった頃の自分はこう言うかな?
「ARTとは純粋なものであって、お金の事を口にするのは違うと思う」
お金が純粋なものではないと誰が言った?それは、事実?
経済も、政治も、宗教も、ARTも、皆同じ。人類の長い歴史の中で、幾多の人々が純粋に知恵を出し合い「より良い暮らし」を求めて思考と行動を重ねて来た活動なんだ。
お金の流れを最も美しい形になるようDesignするのも、ARTなんだよ。ここにも、無駄なくシンプルな美が具現化した「詩」がある。
最後に、1つ。
[情報5]「詩の本は売れない」というのは事実ではない。「売れない詩の本が多い」というだけ。
谷川俊太郎
柴田トヨ
ドロシー・ロー・ノルト
まだ他にもいらっしゃると思うが、100万部を超えるセールスを記録している詩人はいらっしゃる。
また、詩人の清貧的なイメージも決して「決まり事」ではなく、ウェルギリウスなどは詩人としてかなり豊かな暮らしを謳歌したそうだ。それだけ、社会に貢献したという事。
そして、詩集から本という一段上の概念に抽象化してみると、本は売れないと耳にするけれど、現実は、『アルケミスト』など億を超える数の読者に喜びを与えている本もある。
評価という観点でも、日本人ではまだいないが、世界を見渡せば何人もの詩人がノーベル文学賞を受賞しているし、
詩というジャンルがこの先人類の歴史/文学史から無くなる事もないだろう。
まとめるね。
前提として、詩人とは、Artistとは、10万人の人の流れとは違う動きをするんだ。
・本の出版を目指すのは難しい。まして詩なんて。
→10万人の人が諦めるからこそ、チャンスが潜んでると考えよう。
・詩の本は売れないから、自費出版がほとんどらしい。
→10万人の人が諦めるからこそ、1度の人生、1度の出版、まずは最小コストで出版を目指してみよう。財務観点での美しい運動も、ARTだ。
このように考え、行動した結果、200万円を支払う事なく出版契約に辿り着く事ができた。
ここから先は、また次回以降のBlogで話すよ。
君が自分の原稿を、作品を世に出したいと考えているなら、同じ様にじっくりよく考えてみて。
考える為の材料は、身近なところに転がっている。出来る範囲で、リサーチしてみるんだ。認識が間違っていたなら、後から考えを更新すれば良いだけ。
詩集が出版される確率は「10万分の1」という目安を得る事で、意識は変わる。行動も変わる。変化、変化、変化。
身近な愛を、たいせつに。
※次回予告
詩集出版までの道のり - ターゲティング[4/6]
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「身近な愛を、たいせつに」暮らす詩人。絵・音・Webにハマったハマっこ、詩にフォーカスでアラフォーデビュー
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